テレビ収録での出来事

当社の受講生からの質問です。
「NLPとALL NLPの違いはなんですか？」

続きは編集後記で

グレゴリー・ベイトソンは「情報とは、違いを作る違いである」と述べています。

先日、東京MXで「HISTORY（仮）」という秋からの新番組のゲストで収録に行ってきました。
「王様のブランチ」などに出演されている藤井サチさんがパーソナリティを努めています。
収録当日の朝、控室に通されて、プロデューサーさんから、スクリプトを渡されて、テレビの収録の現場を実体験してきました。
そこでプロデューサーの方が「藤井さんを実際にカウンセリングできますか？」という当初、私の想定外のオファーがきました。

こういう状況は今までに何度もくぐり抜けてきたので割と平然とOKしました。
私にとって最大に緊張したのは2回あります。
一つはアメリカでの国際カンファレンスでの発表。
もう一つは、100人の受講生の前で、問題を聞いて即興でスキルを作って、結果を出すこと。
それに比べれば、今回のオファーは特に緊張もしませんでした。

想定外の出来事に対する対処法にはいくつかの戦略があります。
1．ステートマネジメント
2．フィールドマネジメント
3．リソースマネジメント
この３つを使えば想定外の出来事に対処できます。

実際、藤井さんの問題は「威圧的な人に苦手意識があること」でした。
いくつものテクニックの選択肢『知覚位置の変換』『リ・インプリント』や『フォビアプロセス』『ヴィジュアルスウィッシュ』などが思い浮かびましたが、藤井さんが苦手な人を思い出した時の表情と姿勢と心臓の動きなどの反応を見て、もっとシンプルで短い時間でできるテクニックを選択しました。
これは、当社のベーシックコースでお伝えしている『透明人間と薔薇』というワークの変形ヴァージョンです。

1．ステートマネジメント
何が起きても自分のステートを整えることができれば、視野が広がり、様々な事に気がつきます。そして自分と相手と周りのシステムが三方よしになる方向性につながることができます。

2．フィールドマネジメント
自分と相手と周りのシステムのコンテクストになっているフィールドが生成的にアイデアや行動・反応が自然発生するようなフィールドになるように、自分が振る舞えばレゾナンス（共鳴）が起こりやすくなりますので、生成的なフィールドになりやすくなります。
それでも、フィールドを完全に支配などできませんから、フィールドから自然発生することは全て受け入れて適応できるステートが重要になります。

3．リソースマネジメント
自分のステートとフィールドが生成的になれば、リソースが生まれやすくなります。
藤井さんとのセッションにおいても、私のリソースの一つである『治療者としてのカリブレーション能力』は、大いに役立ちました。
彼女が『威圧的な人』を思い出している時に微妙に重心が後ろに倒れたのを見て、即座にフィードバックしました。
そうすると、事実をフィードバックされているのでペーシングになります。彼女の私に対する信頼感は増大（または催眠状態の深化）したのがすぐに分かりました。
ここで、私は威圧的な人を線画で書いて『透明人間』として見るように指示しました。
その時の表情、姿勢などの非言語の変化をカリブレーションして変化したのを確認して終わりました。
時間にして3分程度だと思います。

■編修後記
改めて重要なのはテクニックやスキルではなく、ステートやフィールドです。
特に、スキルシートを読みながら行うスキルでは、テレビ収録などのLIVEでは絶対に役立ちません。
そのフィールドから起こる全てを受け入れる柔軟なステートが重要です。そしてステートがフィールドと円環的なフィードバックループを形成するとドンドンと生成的な方向へ回り始めます。
藤井さんから「困った時にカウンセリングを受けたい」と言って頂きました。
これが「NLPとALL NLPの違いをつくる違い」です