20世紀のイギリスの哲学者である
マクタガートの『時間論』
を基に、お伝えします。
マクタガートによれば、
時間には、
『A系列,B系列,C系列,D系列』
があります。
一つずつ説明します。
A系列:遠い過去から近い過去を経て現在へと、
そして現在から近い未来を経て
遠い未来へと連なる位置の系列です。
自分の経験している時間
主体的な時間
内在化された時間
例:記憶・自伝
B系列:より前からより後へと連なる位置の系列
客観的な時間
外在化された時間
例:原子の振動数などで計測される。
C系列:出来事には 順序があり、変化がなく、
ただ順序があるだけの系列規定と
結合することによって生まれる時間。
静止画
停止した時間
デザインとしての時間
例:時計の文字盤、楽譜、マンガ
D系列:C系列のうち、区切るにつれ何らかの要素に
増加が見られる場合があります。
たとえばカレンダーの数字は1-31 と変化するが、
メトロノームの場合はカチカチにつれ
音が大きくなるわけではありません。
何らか増加要素をもつ場合がD系列です。
例:カレンダー
異なる4つの時間系列によって、
時間に対する意味づけも変わってきます。
日本人は、基本的にB系列の時間を重要視します。
私がアメリカで、NLPマスタートレーナートレーニングをしている時、
夜18:00から始まるトレーニングに、
5分前から着席して待っていたら、
昼間の時間にトレーニングしてくれたトレーナーから
「オンタイムカルチャー」とからかわれました。
日本で当たり前の事が
海外では当たり前では無いことが
時間系列によって実感した出来事です。
======================
マクタガートの4つ時間系列に基づき、
名古屋市立大学の野村博士の論考をお伝えします。
野村博士によれば、
マクタガートのAからD系列時間に加えて、
「E系列』を提唱しました。
E系列:個 (A系列)を超えて集団が一体化(シンクロ)したとき。
社会科学では、大雑把にそれを「物語」あるいは「ナラティヴ」と呼ぶが、
もしくは「対話的」(dialogical)。
E系列の時間は、対話的、相互作用的(インターアクティヴ)に
創られる時間のことだから、
生きていることを証明し続けるリズム(区切り)であり、
お互いもしくは環境との同調から生まれるものである。
時制はない。また、刻みの間隔は柱時計のように一定と限らない。
音楽会、お祭り、ダンス、カウンセリング
======================
F系列:21世紀の最先端の哲学は「新実在論」です。
「新実在論」では「意味の場Field of sense」に
現れる事柄は実存するというテーゼです。
そのような哲学の基、時間について考えると、
科学的実在論(A~E)という
意味の場ではあり得ないことも、
仮想現実という意味の場では
実存する時間がF系列です。
「もしもあの時に、あのリソースがあったならば・・・」と
考えることが仮想現実であり、
その時間がF系列の時間です。
さらに新実在論は、
「月の裏にユニコーンが居る」という空想も
ある意味の場で実存すると考えるので、
どんなファンタジーも
F系列の時間として実存します。
仮想現実、空想された時間
もしも~ならば・ファンタジー