ニューロロジカルレベル



こんにちは。ALL NLPの村上剛です。

前回は「知覚位置」について

お伝えしてきました。

今回は「ニューロロジカルレベル」

と言うことについてお伝えします。

ニューロロジカルレベルとは、
人の考え方や行動の関係性を人間の神経系と関連付けて判りやすくしたモデルです。

ニューロロジカルレベルの歴史をたどってみましょう。

もともとは、数学の「『クレタ人は嘘つきだ』とクレタ人が言った」のようなパラドックスを解決するため
イギリスの数学者であるバートランド・ラッセルのロジカルロジカルタイプ理論 (数学的集合論)
が元になっています。

これは、①クレタ人が嘘つきでないなら、この文章そのものが嘘になります。
反対に②クレタ人が嘘をつくのが本当なら、本当のことを言っているこのクレタ人は嘘つきではなくなってしまいます。
①②のどちらを信じてもパラドックスが生まれます。

ラッセルは、このパラドックスを解決する為に、クレタ人全員という集合と既述したパラドックスを言った一個人のクレタ人をレベル分けすること、で解決します。

どういう事かと言うと、

クレタ人全体の集合を一個人に含めないということです。

クレタ人の中には、個人的には嘘をつく人もつかない人もいるけど、クレタ人全体が嘘つきかどうかは言えないと言う事です。

集合(クレタ人全体)と集合を構成する要素(クレタ人個人)を分けてレベル分けします。

ラッセルのロジカルタイプ理論をNLPの父と呼ばれる文化人類学者グレゴリー・ベイトソンは、動物や人間のコミュニケーションに応用しました。

動物が「噛む」という行為を取るときに「甘噛み」というのがあります。
これは、遊びの一種で、闘いではありません。

噛むという行為は同じでも、「遊び」という状況なのか、「闘い」という状況なのかによって意味が変わるという事です。

そうすると噛むという行為よりも、その行為を行う状況や意図の方がレベルが高いという事です。

これがベイトソンの
「学習と変化のロジカルレベル理論」
という論文として発表されます。

ベイトソンがカリフォルニア大学サンタクルーズ校で教鞭を取っていた時の生徒だったロバートディルツは、ロジカルレベル理論に1980年代神経学(ニューロ)の知見を加えて
ロバート・ディルツのニューロロジカルレベル理論を1980年代後半にNLP第2世代の成果として開発しました。

https://felix-nlp.com/wp/wp-content/uploads/2022/07/nll.pdf

ニューロロジカルレベルは6つレベルによって、上位レベルが下位レベルをマネジメントします。
1.環境レベル
2.行動レベル
3.能力レベル
4.信念・価値観レベル
5.自己認識(アイデンティティ)レベル
6.スピリチュアルレベル
で1.から6.に向かいレベルが上がります。

1.環境レベルとは、主に感覚神経が作用して、外界の光、音、臭い、地面の硬さや傾きなどの情報収集するレベルです。それにより時間と場所の情報も得ていますい。

2.行動レベルとは、主に運動神経が活動して筋肉を収縮することで、ある時間のある場所、つまり特定の環境において行動するレベルです。
行動レベルは、身体性と強く関与しています。

3.能力レベルとは、主に大脳新皮質が作用して行動するための計画、戦略を立てるレベルです。
このレベルでは半意識的運動が起こります。
半意識的運動とは、意識すればコントロールできるけど、通常は意識していないジェスチャー、声のトーン、眼球の動き、姿勢を言います。
この半意識的運動は、どの表象システムを使っているのかを見極める合図となります。

4.信念・価値観レベルとは、主に自律神経系の中枢である大脳辺縁系が作用します。
自律神経系は、意識的にはコントロールできない身体の反応、例えば、発汗、体温調節、瞳孔の大きさ、血流の量と圧力などを無意識にコントロールしています。
反対に言えば、自律神経系の反応が変化することは、信念・価値観レベルでのプロセスが起きていることがわかります。
信念と価値観は同じレベルですが、異なる概念です。
価値は私たちが大切だと思う概念で「愛」「自由」「平等」etc.です。
信念は既述の価値を異なるコト、モノに繋げる接着剤のような概念です。
例えば「自由は義務を果たすことで得ることができる」のような表現です。

5.自己認識(アイデンティティ)レベルとは、脳幹と呼ばれる意識の覚醒を司る部分が作用します。
「自分自身が何者であるか?」という問いに対する答えを考えるレベルです。
環境レベルから信念・価値観レベルまでを入れている器です。

6.スピリチュアルレベルとは、個人と個人の神経系同士が繋がり、さらに大きな神経系同士のネットワークになるレベルです。
1個人のレベルを超えた集合的なレベルであり、信仰の対象である神、仏あるいは宇宙、世界などもまたスピリチュアルレベルです。
この時に神経系は「感覚歪曲」と「共感覚」が特徴的です。
感覚歪曲とは、通常は遠い光点は暗く見えるのですが、遠い光点がより明るく見える現象です。
共感覚とは視覚・聴覚・体感覚が同時に変動する現象です。
例えば音楽に色がついていたり、身体の感覚に音が響いていたり、見ている景色で身体が熱くなったりすることです。

ニューロロジカルレベルは個人に対しても、集団に対しても使えますし、様々なシチュエーションで使える汎用性の高いモデルです。
例えば
カウンセリング・コーチング・コンサルティング
教育
一般医療
組織マネージメント
その他