NLPに大きな影響を与えた人物として催眠療法家のミルトン・エリクソンがいます。
NLPでは、「ミルトンモデル」のオリジナルとして知られています。
ミルトンモデルに対して色々批判を聞きます。
NLPの創始者たちをエリクソンに紹介した文化人類学者のグレゴリー・ベイトソンからも、ミルトンモデルは「粗悪な認識論」と卑下されました。
それでも、実際に身体的にも心理的にも治療する時には、私にとって無くてはならないモデルです。
私が聞いたのは、
1.操作的(ベイトソンはこの点を問題にしています)
2.単に大枠で曖昧にしているだけ
3.エリクソンの『文法』のみを扱っている
この3つです。
それぞれに対する私の考えは
1.操作性の問題に対して、私は「三方よし」で解決される問題と考えています
ミルトンモデルだけではなく、あらゆる心理療法に言えることだと思いますが、クライアント良し、ガイド良し、システム良しであることが重要です
ガイドの一方良しは、詐欺と同じになります。
ガイドとクライアント二法良しは、カルトの洗脳状態と同じになります。
だからこそ、クライアントとガイドを含むより大きなシステムにとって良しを目指す三方良しを私は提案します
2.単に大枠で曖昧にしているだけ
NLP以外の催眠療法家の方から「大枠で曖昧にしている事だけがエリクソンの言語パターンではない」と言われました。
その通りだと思います。
と同時にミルトンモデルもまた「単に大枠で曖昧にしているだけ」ではありません。
「メタモデルの反対」だから大枠で曖昧な部分もありますが、それはミルトンモデルの全体の一部にすぎないのです
質問挿入や前提などは大枠、曖昧の尺度では説明できません
3.『文法』のみを扱っている
その通りだと思います。
本来コミュニケーションを『統語論』(いわゆる文法)、つまり「言葉の組み合わせ」のみで語れないのは当然です
言葉の意味を扱う『意味論』や言葉がどのようなコンテクストで話されているのかを研究する『語用論』を含めることでコミュニケーションの言語学的な材料がある程度そろいます
それでも、やはり地図は現地ではないので、エリクソンの催眠療法の全ては語りえないのです。
だからこそ、一人の催眠療法家からたくさんの方法論が生まれているわけです。
NLPだけが正しいわけでも、正しくないわけでもありません
抽象化している事を自覚する必要があります
この議論は、先日引退したイチロー選手のバッティングについて「イチローのバッティングはバットの良し悪しで決まっていない」ということです
そのうで、エリクソンの言葉の使い方であるミルトンモデルは、有効に使える時があります
適切にいつ、どこで、誰に対して、何の目的で、どのような意図で使うかが重要なのです
イチローのバットを使って、ヒットが打てないからと言ってバットを責めても意味がありません
バットをどう使うかという事です。
そこで今、私が実感しているのは、ミルトンモデルを使うと「患者さんとレゾナンス(共鳴)しやすくなる」という事です